抹茶は普通茶筌を使います。茶筌を使うことを「点じる」と言います。特に抹茶を点てるときに「点前」という言葉を使うのも、それが理由です。茶筌を使って抹茶を点てることを「点茶法」と言います。

これに対して茶筌を使わない入れ方があります。書物には匙という言葉が出てきます。激しくかき回して泡立てるというので「劇払法」と言います。

抹茶にまず少量の湯を入れ、よくなじませます。最後に湯を適当な量にして泡立つようにかき混ぜます。

実際にやってみると、匙を使って泡を立てるまでかき混ぜるのは、かなり大変です。

逆に泡が作れればいいのかというとカフェラテなどで使うクリーマーがあります。使うと、見た目はかなりいいのですが、味はかなり変わってきます。

 

中国で抹茶はいつから飲まれていたのか、茶筌はいつから使われていたのか。はっきりしたところは分かりません。

ただし、『茶経』が書かれた8世紀ごろ茶は葉茶を煮だして飲むのが一般的だったのに対して、日本に抹茶が伝わった12世紀ごろ、中国では「茶筌」を使って抹茶を点じるという喫茶法が流行していました。

おそらく11世紀ごろ、抹茶の飲み方は「劇払法」から茶筅を使った「点茶法」に変わってきたのではないかと私は見ています。

茶筌は抹茶にとって画期的な役割を果たしたのではないかと考えます。